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村上龍の「五分後の世界」を読んだ。感想とか。

村上龍の「五分後の世界 (幻冬舎文庫)」を読んだ。

村上龍があとがきで、本作は従来の作品とは違った方法で書いたみたいなことを言っている。また、今までで最高傑作だと。確かにこの作品は、読後感が他の村上龍の作品とも少し異なるかもしれない。何が違うのかはあまり細かく考えていないが、どこか主人公の心の中や感情を描かず、その心や感情の表出の結果を描くというか。

物語は、この世界の五分後の世界。そこは現在とは全く異なった世界で、旧日本軍が投降せずに連合軍と戦い続けている。日本人の人口は26万人になってて、日本の国土は全部占領されて目茶苦茶にされているんだけど、生き残りはアンダーグラウンドっていう地下の途方もなく巨大な要塞を本拠地にしてすさまじい戦闘をし続けている。
で、このアンダーグラウンドにいる日本軍、死ぬほど強い。
強すぎて連合軍はもう勝つことをあきらめているわ、世界から尊敬されているわ、世界にゲリラを派遣して世界情勢を左右しているわで、とにかく世界的にすさまじい存在感を持っている。26万人で。

じゃあなんでそんな強い日本軍が日本国土のみならず世界征服をしていないのか。
そこには深いわけがありまして、彼らは価値観が変わっているんです。
ビルマやニューギニアの南方で戦った旧日本軍の兵士は、歴史上もっとも困難な戦闘を生き延びた。彼らが日本に戻ってきて、情報戦の大切さや技術力の大切さやなんやらと要は新たな価値観をもとに石原莞爾とかの協力のもと、地下の要塞を作っていくのだ。
で、彼らは科学技術も世界一だし、米ソ中から徹底的に潰されようとしてんのに、ただ一つの目的、すなわち、自らのプライドと勇気を、世界に分かる手段で世界に向けて表現するという目的のために戦いを続けているのです。

え?何?日本軍はこうすれば勝っていた、的な歴史IFモノかよってお思いの方、違いますよ。
地下で戦っている最強の日本人たちは「国民ゲリラ」と言って、家の中で靴を脱がないわ敬語はないわでとっても合理主義的。まるで想像の中のアメリカ人。
で、地上でルンペンみたいな生活をしてる日本人がいて、彼らは「非国民」と呼ばれているんだけど、この非国民たちは元軍人エリートとか政治家エリートとか華族とかの人たちで、つまり太平洋戦争ではどっちかというと体制側。で、この非国民の村では、能が行われてたりしてとっても日本な感じなんだけど、彼らは強い方につくし、女は米軍に差し出すしで、ホント死ねって感じなんですが、つまりこの人たちが今の日本人であり、戦争を敗北に持って行った日本人なんですよ多分。
彼らは自らの頭で考え、プライドを持ち、行動することができない人たち。
一方で、国民ゲリラは、その逆ですよ。イチローみたいな感じで、かっこいいんですよ。
で、それらのほかに、駐留してる連合国軍や(日本は米ソ中英に分割統治されてる)、彼らが日本民族を消滅させるために送り込んだ移民と、その移民にレイプされまくってできた大量の混血児がいるわけです。この混血児は準国民と言われています。

吉本隆明が、「だいたいで、いいじゃない。 (文春文庫)」という、大塚栄志と一緒にうだうだしゃべってる本があって、その中でこの「五分後の世界」について吉本隆明がうだうだ言ってるシーンがある(文庫版22ページ)。
で、このおじいさんが何と言ってるかというと、要は、五分後の世界で国民ゲリラの価値観がアメリカンなのが変だとかって言ってる。つまり、このおじいちゃまの脳内では、
日本軍が投降してない・戦い続けてる ⇒ ボクちゃんが見てきたヒサンな軍隊の実態が描かれてないとおかしいのに、この小説ではなんかイケてる価値観を持つ人ってことになってる ⇒ おかしい。
みたいな話なんだと思うんですが、それは読みが浅いですよ。
国民ゲリラと非国民村はメッセージですよ。
多分このおじいちゃんが望む旧日本軍の姿は、非国民村にちゃんと描かれてるんじゃないかな。
このおじいちゃん、昔は難しい本いっぱい書いてたのに、最近出してる本とか見てたらホント悲しくなるな、、、老いって、怖い。

というわけでまとめると、旧日本軍の南方からの生き残りの一部の軍人がいわばニーチェのいう超人みたいなのになって、誰の言いなりにもならずに民族のプライドと勇気を戦争や音楽やスポーツによって世界に示し続けて、米中ロみたいな大国にとっては無視できない目の上のたんこぶになってて多くの国々からはリスペクトされてるっていうお話。
まあ、現代日本へのメッセージと受け取るのが妥当かと。

それにしても国民ゲリラ、超かっこいいですよ。強すぎ。
五分後の世界 (幻冬舎文庫)五分後の世界 (幻冬舎文庫)
(1997/04)
村上 龍

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だいたいで、いいじゃない。 (文春文庫)だいたいで、いいじゃない。 (文春文庫)
(2003/09)
吉本 隆明大塚 英志

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プレステ2のゲームにもなってた!
五分後の世界五分後の世界
(2001/08/02)
PlayStation2

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次はこの↓を読もうかな。五分後の世界の続編。
ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2 (幻冬舎文庫)ヒュウガ・ウイルス―五分後の世界 2 (幻冬舎文庫)
(1998/04)
村上 龍

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